入社10年目のパティシエHさんのこだわりは、朝いちばんに仕上げる「皇子が丘しあわせロール」。
ケーキ屋さんとしては、開店時間が9:00と早いパレット。
いまから訪問先へのお持たせにと、ロールケーキをお買い求めのお客さまが開店間もないドアをくぐります。
朝からお店が開いていて「よかった」とお客さまにおっしゃっていただけると、
Hさんにとって、ひっそりと誇らしく思えるのです。
お客さまからは、言葉だけでなく、表情でも伝わってくる思いがあります。
Hさんは、そんなお客さまに伝えたい思いを込めて、毎日朝早くから笑顔でロールケーキを焼いているのです。
卵アレルギーの方のための、スポンジケーキを作った。プロの方対象の講習会の依頼があったので、ついでにとメニューに加えたら、反響が多かった。
大学の管理栄養士の方も、このごろそういった問い合わせが多いからと、聞きにこられたので、教えてあげた。
アトピーの方のための、スポンジケーキを何気に検索していたら、特許を取っている方がいた。しかし、増粘多糖類の起泡剤を使っていた。
無添加じゃないんだと、少し驚いた。製法だけの話か?こうしたスポンジケーキを作る目的や、そうしたスポンジケーキで喜ぶ子供の顔を思うと、違うと思う。
パレットのお菓子教室でも、希望があれば教えますよっていったら、「特許をとればいいのに」といわれた。
しかし、このスポンジケーキは、好きでなったわけでもないアトピーの方を思うと、公開して、より多くの方に笑顔になっていただくほうが「人として正しい」と、思うから特許を取って利益を独り占めする商品ではないと思う。
信じた道を、とぼとぼ、ゆっくり、楽しく歩いていこう。